another story-4 【京都嵐山編】

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「渡月橋と太陽の光が反射した水面。今日一番の美しい景色だなぁ」 綾子はそう言って僕に微笑みかけた後、手の中で震えたスマートフォンに視線を落とす。 どうやら、同じタイミングで僕のスマートフォンも震えたらしい。 ポケットから取り出して画面を見ると、【特別避難警告】と言う文字と発生地域が羅列されていた。 【奈良県吉野町ーーーー】 【奈良県奈良市ーーーー】 【奈良県桜井市ーーーー】 地域の羅列の最後は、【上記の地域にて狂乱事件が発生しました】と言う文字で締めくくられていた。 綾子は硬い表情でスマートフォンから視線を外し、再び大堰川(おおいがわ)の川面を見つめ始めた。 大きく息を吸い込み、吐き出すのに合わせて綾子が呟く。 「すぐ隣の県でパニックが起こってるなんて……信じられないね」
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