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お土産屋のガラスは盛大に割れており、破片が道路まで飛び散っている。
渡月橋に辿り着く前、綾子はこのお土産屋が一番品揃えがいいと呟いていた。
運が良ければ、このお土産屋の奥にでも逃げ込んだ可能性がある。
僕は尖ったガラスで肌を切らないように気をつけながら頭を屈ませて中へと入って行く。
中には男性が2人、血を流して転がっていた。
八つ橋の箱が積み上げられている前に一体と、レジ前に一体。
それ以外、何者かがいる気配は無い。
僕は店の入口付近にある木刀を手に取り、八つ橋の箱の前で倒れている男性に駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
その言葉を掛けてすぐに、その問いかけが男性にとって無意味なものである事に気付く。
その男性は既に、腹を抉り取られた後だった。腸や胃袋が数センチ離れた場所に転がっている。
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