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その男性の頬に触れると、まだ少し温かさが残っていた。
ショックのせいか悪臭のせいかは分からないが、割れるような頭痛が始まる。
吐き気を堪え奥へ進み、レジ前で倒れている男性に歩み寄る。
俯せで倒れている男性は特に目立った外傷は無い。
ショックで気絶しているだけだと思い、男性の肩に手を掛け、仰向けに寝かす。
「だ……」
呼び掛けようとした言葉が男性の顔を見て止まる。
男性の顔は、両頬が無く、左眼も抉られていた。
恐怖で脳がおかしくなってしまったのか、その死体がまるで人形のように感じる。
実際、全てが造形物で、このパニックも映画か何かの撮影なのかもしれない。
現実逃避しようとしている僕に逃げるなと言わんばかりに、土産屋の奥から木材が割れるような音が響いた。
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