another story-4 【京都嵐山編】

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音が聞こえて来た方向をジッと見つめるが、何かが出て来る気配は無い。 綾子が押入れに隠れているかもしれない。そう思った僕は木刀をギュッと握り、土足のままレジ奥にある廊下に侵入する。 廊下を進むに連れて、先程までお土産屋に居たということを忘れて行く。 木造の床はギシギシと軋む。シロアリが喰ったような小さい穴が所々に開いている。 あの音は何処から聞こえて来たのだろう。 右手にある引き戸を開くと、古びた台所が視界に入る。 食事の途中で中断したのか、テーブルの上に置かれた茶碗の中にはご飯が少し残り、味噌汁が入っていたと思われるお椀は床に落ちていた。 この中には誰も居ない。そう思ったのも束の間、僕の肩は何者かに勢い良く掴まれる。
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