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その力を肩に感じた瞬間、手を置いているのが普通の人間でない事に気付く。
まるで肩をむしり取られるような強さに危険を察した僕は羽織っていたジャケットから腕を抜き、四つん這いになって台所の奥へ逃げて行く。
テーブルの下に隠れながら扉の方に顔を向けると、エプロンを付けた中年女性が両手を前にスッと出した状態で停止していた。
明らかに肩の位置がおかしい。
女性特有の丸みを帯びた身体は消え失せ、肩が外れたようにゴツゴツとした骨が皮膚から飛び出している。
眼の中にはまるでいくつも眼があるように見える程のスピードで眼球が上下左右に動いている。
ここがお化け屋敷ならどれだけ幸せなのだろう。だがこれは現実だ。この現実を受け入れないと、肉が食い千切られ、殺される。
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