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不法侵入者同士、仲良くする必要は無いということだろうと少女の反応を勝手に解釈した僕は、和室から出て階段を降りようと一歩踏み出した。
しかし、その歩みはすぐに停止する。
階段の降りた先に明らかに人では無いモノの影がいくつも見えたからだ。
影は全部で四つ。
一体倒したとしても、他の三体に囲まれて喰い殺される。
渡月橋の上でバラバラにされていた男性の遺体を思い出す。
生きたまま喰い殺される恐怖はどれ程だろう。どれだけ痛いのだろう。
イメージしたくなくても、すぐに自分の死は映像となって頭の中に現れる。
僕はそのイメージを拭い去るように左右に頭を振り、和室へと戻っていく。
スマホのメモ機能に文字を打ち込み、押入れを開いて少女の顔の前に差し出した。
【下にアレが四体いる!ここにも上がってくる!僕と逃げよう】
その文字を見た少女は青ざめた顔で押入れから飛び出し、和室の奥にある窓から道路を見下ろした。
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