八百辻千斗1

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「まぁ僕も人の事を言えませんが」 「二十三春木さん、でしたよね?」 「そうです」 二十三春木。 ニトミ、ハルキ。これまた珍しい性だ。漢字だけ見れば読めない人なんてたくさんいるだろう。 春木の方はまんまだけど、二十三は難しい。簡単な文字が並んでいるだけだけど、読めと言われると中々読めない。 けどその漢字を除けば、普通の男の子だった。 顔と名前以外は別段普通の男の子と変わらない。 サイコパスでも、狂人でも、ましてや恐ろしいまでの筆圧がある訳でもない。一日中机に張り付いている訳でもない。 むしろ仕事中は誰よりも静かだ。言葉一つ発しない。 筆圧は女の子並みに弱い。弱くてか細い字を書く。全然イメージと一致しない。むしろ真逆。 クリクリとした丸い目が、まるで子犬のようでたまに母性本能をくすぐられる。 ホラーキャラと言うより、むしろ癒し系キャラだ。ほのぼのキャラだ。 この人物のどこからあんなホラーが出てくるのだろうか。 総じて言えば。結論を述べると。私が思っていたのとだいぶ違う。ごく普通の20の男の子だ。 ごく普通の男の子、だった
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