精霊たちの森

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  でもこの村では、 この爺さんはみんなに大事にされている。 いつだったか、 西の村で疫病が流行った時、 たまたま旅から帰ってきた爺さんが、 いち早くみんなに知らせて、 この村は事なきを得た、 なんて事もあるからだ。 小屋の中では、 村の子供達が爺さんの話しに夢中だった。 好奇心の強い、わんぱくトーマスは、 思いつくと人の話の途中でも構わず口を開く。  「・・・ねぇ、  ・・・ニコラ爺さんも魔女に遭った事があるのかい?」  「わしかね? あるともさ!  わしがおまえらのような、  子供の時じゃ、  親父の言いつけを守らずに、  夜の森に出ちまってな、  森の真ん中まで来たときに、  向こうから馬車のガタゴトいう音がした・・・。  急いでわしは大きな樹木の後ろに隠れたんじゃ。  ・・・そぉっと覗くと、  首のない馬が通り過ぎていった・・・。  馬車の窓からは、  醜いカサブタだらけのフラウ・ガウデンが顔を出していた。  しばらくの間、  わしは怖くて一歩も動けんかったわ・・・。」  
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