一、生まれ変わりを信じるか

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空は暗く、月だけがぼんやりと出てる。 さっき沼が氾濫とかなんとか言ってたなと思いつつ、傘を差したまま先の地面を携帯で照らす。 確かに少し背の高い雑草が、横にべちゃりと寝込んでいる。 「…水はあっという間に引いたとよ」 「床下ですか?」 「まあな…」 「不幸中の幸いですね」 「…ありがたかー。 龍神様にお礼ば言わんばいかん…」 と、全く感謝してない風の土井さんから視線を移した。 ちょうど母屋の裏から、男たちがワラワラと何人か出てきたところだった。 皆で沼を見に行ったらしく、祠も潰れてる、と誰かの声が聞こえてきてドキリとした。 「なんやろうかねえ」 一人が言い、 「龍神さんも怒んさぁばい」 と、また誰かが言った。 ( …ほんと人騒がせな…) 潰れた納屋を見ながら、祠もか、となんだか悲しい気持ちになる。 どう見たって雷じゃない。何か大きな物が空から落ちてきた感じ。 「 …まさか」 …UFO?とオレが自分の顎に手を添えてみると、それを聞き取った誰かが、そうか、UFOか、と同調して、そして他の皆が一斉に「ああ」と頷く。 男前の足立さんだけが、ちょっと離れたところで「ぶはっ」と噴き出したのが見えた。 (…んなわけないだろ) オレは真顔で頷く連中を心の中でせせら笑う。 前から思ってたけど、どんだけ単純だよあんたら。
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