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でもそれはもちろん口には出さず、オレは欠伸を噛み殺す。
もう帰って寝たい。
今日だって一日中組合員にこき使われた。
どうせこの件は駐在の横山さんが来てもお蔵入りになるだろうし、納屋も結局みんなで建て直すんだろし?
だからその時また、休日返上で借り出されるのは目に見えてる。
(コンバインは支所のを貸してやるか… 後藤さんだってそんくらい考えるだろ)
とかなんとか自分の中で終止符を打ち、もうそろそろ誰か仕切らないかな、て言うかちょっと祠見て帰ろうかな、誰か直すなら手伝おうかな、と母屋の方にのんびりと目を向けた瞬間。
さっき皆が出てきた場所に、ボーッとした光のようなものが見えた。
( …え?)
オレから声が出たのかもしれない。
隣にいた土井さんがオレを見て、その後、オレと同じ方を見た。
「 …なんか、光が…」
皆が、異なったタイミングで、でも同じものを見た。
そして一斉に声を失った。
星の無い空のおぼろげな月。
その光に似ていた。
揺れていた。
オーラという言葉が頭を過った。
その中に男がいた。
その場の空気が、一瞬にして凍りついた。
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