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(でもそれとこれとは話が違うだろッ)
両手の平の中、唸るオレ。
(相手は人間じゃねえんだぞ!?)
諦めきれなくて、ガバッと顔を上げた。
「っ主食が人間とか言われたらどうすんですか!!」
思ってることが口を突いてしまったけれど、返ってきた返事が、
「村の為けん!! トリちゃんごめん!!」
だった上、皆がこっちに両手合わせてるのに気付いて、ゾーッと寒気が走ったのはオレのつま先から頭の天辺まで。
だめだこりゃ!って、長介の声が頭の中を過ったその時、土井さんの奥さんが叫んだ。
「っ神様…っ」
瞬間、いつの間にかちょっと離れていた土井さんの口から、「ひっ」とまた変な驚愕の音、そして皆の息もまた止まった。
既に歩き出していた男も立ち止まり、静かに振り返る。
「…なんだ」
「うちの納屋を壊したのは…っ」
(っそっちかよ!!)
再度突き落とされるオレの下、
「…俺だ。 沼に降りる際、目測を誤った」
(お前かよ!!)
男がいけしゃあしゃあと言い放った言葉に、周りの皆がざわざわとし出す。
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