一、生まれ変わりを信じるか

26/42
1515人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
… 見慣れた天井が視界に映った。 背中に畳の硬さを感じ、いつものテレビの笑い声も耳に入ってきた。 だからすごく安心して、 (…疲れてたんだな…) うたた寝するなんて、と、小さく息を吐く。 オレの連日の作業は組合員の使い走り。 重くて臭い飼料や肥料を届けたり、愚痴を聞いたり手伝ったり。 今日も朝から足立さんとこに手伝いに行って、夜になって村長に呼び出され、土井さんとこがあんなんなってて… ( …あれ?) …どこからが夢だ…? と、煌々と光る蛍光灯から自分の目を守ろうと右腕を上げた瞬間と、 「 …起きたか」 悪夢が現実となった瞬間はほぼ同時。 「……!!」 あり得ない声に恐怖して、グルンと、思わずそっちを見る。 「…気を失うとは何事だ」 さっきまで夢の中にいた男が、オレのお気に入りのソファに堂々と横になっている。 それを目視した瞬間オレの体は跳び上がり、ズササササーッと部屋の隅まで後退っていた。 ( …って言うか…っ) デカいデカいとは思っていたが。 オレ的には大きなソファを買ってご満悦だったのに、その男が寝ると一気にチンケに見えてしまうとは何事か。
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!