1515人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
…
見慣れた天井が視界に映った。
背中に畳の硬さを感じ、いつものテレビの笑い声も耳に入ってきた。
だからすごく安心して、
(…疲れてたんだな…)
うたた寝するなんて、と、小さく息を吐く。
オレの連日の作業は組合員の使い走り。
重くて臭い飼料や肥料を届けたり、愚痴を聞いたり手伝ったり。
今日も朝から足立さんとこに手伝いに行って、夜になって村長に呼び出され、土井さんとこがあんなんなってて…
( …あれ?)
…どこからが夢だ…?
と、煌々と光る蛍光灯から自分の目を守ろうと右腕を上げた瞬間と、
「 …起きたか」
悪夢が現実となった瞬間はほぼ同時。
「……!!」
あり得ない声に恐怖して、グルンと、思わずそっちを見る。
「…気を失うとは何事だ」
さっきまで夢の中にいた男が、オレのお気に入りのソファに堂々と横になっている。
それを目視した瞬間オレの体は跳び上がり、ズササササーッと部屋の隅まで後退っていた。
( …って言うか…っ)
デカいデカいとは思っていたが。
オレ的には大きなソファを買ってご満悦だったのに、その男が寝ると一気にチンケに見えてしまうとは何事か。
最初のコメントを投稿しよう!