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「 …苦しそうだ。 出してみようではないか」
「…っばかやめろッ!!」
「…馬鹿とな?」
男の頭の向こうに蛍光灯。
その所為で、男の微かに笑う顔が黒く黒く見え。
(こいつ…!)
やらなきゃやられる…っ
その答えに行き付いた次の瞬間、
「どっ」
けぇぇえええと、
オレの拳が飛んでいた。
頭の中ではもちろんクリーンヒットを描いていた。
当たり前だ、この至近距離。
人を殴ったことはないけれど、逃げる隙くらいならできるんじゃないかって、
いや、上手くいくなら漫画みたいに後ろに吹き飛んでくれるだろうって、当然のように拳を男の顔面狙って思い切り突き出したんだけれど。
なのにそれは馬鹿みたいに思い切り空を切って。
「……」
「 …れ?」
オレの上から落ちてくる冷たい視線に、自然と口の端が引き攣る。
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