一、生まれ変わりを信じるか

34/42

1517人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
「 …苦しそうだ。 出してみようではないか」 「…っばかやめろッ!!」 「…馬鹿とな?」 男の頭の向こうに蛍光灯。 その所為で、男の微かに笑う顔が黒く黒く見え。 (こいつ…!) やらなきゃやられる…っ その答えに行き付いた次の瞬間、 「どっ」 けぇぇえええと、 オレの拳が飛んでいた。 頭の中ではもちろんクリーンヒットを描いていた。 当たり前だ、この至近距離。 人を殴ったことはないけれど、逃げる隙くらいならできるんじゃないかって、 いや、上手くいくなら漫画みたいに後ろに吹き飛んでくれるだろうって、当然のように拳を男の顔面狙って思い切り突き出したんだけれど。 なのにそれは馬鹿みたいに思い切り空を切って。 「……」 「 …れ?」 オレの上から落ちてくる冷たい視線に、自然と口の端が引き攣る。
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1517人が本棚に入れています
本棚に追加