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白いロングスカートの下であぐらをかき、再びラフなタンクトップ姿になったこの美人上司の洞察力は、時々春樹をドキリとさせる。
春樹のほんの少しの変化を、彼女は見逃さない。それは春樹に取って安心感でもあり、脅威でもあった。
「……なんで?」
「別にそんな、深刻な顔しなくてもいいわよ。春樹はきっと何も悪い事なんかしてないはずだし。だけどタクシーの中でちょっと様子がおかしかったから、ずっと気になってたんだ。ほら、タクシーの中じゃ話せないことだってあるだろうし」
「……うん」
「やっぱりね。うっかり誰かに触っちゃったんだ。あんまり楽しいハプニングじゃなかったのね、その様子じゃ。
話してみなさいよ。溜め込んどくよりもきっと気が楽になる。私もなんだか落ち着かないしね」
まるですべてを了解し包み込んでくれるような声色に、春樹はホッとして力を抜いた。
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