気付かぬ幸福 気付く不幸

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俺は殺し屋だ。 今日も1人、人を殺した。 政府に対するデモの中心人物を、高層ビルの屋上から狙撃したのだ。 とある国の政府公認の殺し屋である俺は、警察に捕まる心配も、仕事が無くなって廃業する心配も何も無かった。 いやむしろ、恵まれすぎていた。 金を求めれば一生かかっても使えぬほどの金が手に入り、女を求めれば毎日違う上に美しい女が現れ、武器を求めれば最新の武器が手に入る。 人を殺す、たったこれだけの単純作業。 それをこなすだけで、これほど恵まれた生活が出来る。 俺は、神に愛されていると信じて疑わなかった。 俺以外の誰がこれほど愛されているのだろうか。 いや、そんな人間はいない。 そう、信じていた。 今日も電話が鳴る。 そして、仕事が始まる。 今日の相手は、この国のある分野における最高責任者だ。
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