気付かぬ幸福 気付く不幸

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今日の相手は、国のエリート部隊だった。 強かった。 それ以外に言えることは無い。 今日の相手は、国の一個中隊だ。 相手の数が多すぎる。 俺はアジトの地下を通って逃げ出した。 今日は何も相手にしていない。 下水道の中にも追っ手は来ていたが、気付かずに通り過ぎた。 過酷な生活を強いられているのにもかかわらず、俺は何も感じなかった。 俺の心は、死んでいた。 いつから死に始めたのか、それともいつ死んだのかと言うべきか。 どちらにせよ、俺は心を喪っていた。 今の俺は、危機を機械的に回避するロボットのようなものだ。 もうすぐ、何かを考えることすら出来なくなるかもしれない。
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