4#ブタから真珠

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 「ぶひ・・・ぶひ・・・ぶひ・・・ぶひ・・・」  ブタの『グッドラック』は、もう立ち直れなくなった。  養豚場の片隅でうずくまって、無くしてしまった、あのこの世で1番美しい真珠の玉のことを思い出しては、悔し涙を流していた。    ・・・何であの時、目を放したんだろ・・・  ・・・あの時を戻せたら・・・  余りにも深い悲しみで食欲さえ失せたブタの『グッドラック』の丸々肥えてた身体は、まるで空気でも抜けたようにみるみるうちに痩せこけていった。  「俺、『トンカツ』になってくるぜ!!」  「わたしは、『トン汁』かな?」  「僕は、『ロースハム』かな?じゃあな!痩せブタちゃん!」  痩せ衰えた『グッドラック』とは反比例して、腹一杯食べてパンパンに肥えた他のブタ達は、次々もトサツ場へ出荷していった。  養豚場に居残った『グッドラック』は。新たな見知らぬブタ仲間と同じ屋根の下で過ごして、声をかけられても、身動きは取らずにただ、壁際でうずくまっていた。  「真珠・・・真珠・・・」  ぽろり・・・  ブタの『グッドラック』の目から溢れた涙の滴が、養豚業者が清掃したての床に滴り堕ちて、玉のように転がった。  ・・・あっ・・・  ・・・あったぁ・・・!!  その涙の滴は、養豚場の屋根の隙間から降り注ぐ日の光に照されて、瑠璃色に真珠のように輝いた。  「あったぁ・・・!あったぁ・・・!」  ブタの『グッドラック』は、嬉しくて嬉しくて、嬉し涙をポロポロと溢し、滴り堕ちてまた増えていった『真珠の玉』のそのなんとも言えない位の美しさに心が震え、胸がわいてきた。  ・・・あの『美しい玉』は、おらの身体の中から飛び出してきたんだわぁ・・・  『グッドラック』は奮い起った。  「あっ!」    「『居残りブタ』が、やって来た!!」  「何か様子が違うぞ・・・」    がつん!!がつん!!がつん!!がつん!!  「いてっ!!」「うわっ!!」「何て力だ!!」「凄い食いっぷり!!」  ブタの『グッドラック』は、他のブタ達を押し退けて、餌場の桶に顔を思いっきり突っ込むと、大胆にムシャムシャと飼い葉を頬張って食いっぱくると、気力がどんどん戻ってきた。  一時は痩せ衰えた身体もみるみるうちに膨らみ、元のパンパンな膨満ブタになっていった。
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