第1章

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「カナ? なんで声出てないの? ふざけてないでしょうね? カナ……!」 そう叫ぶ母さんに、いたって真面目に応える。 「ふざけてないよ?どしたの、母さん」 母さんは泣き出して、それ以上何も言わなくなった。 医師は唖然としながら、つぶやくように言った。 「そんな……、外傷はひとつもないのに、声だけ出ないとは。どうなっとるんだ?」 (声、出てないの?) トーヤに視線を移すと、トーヤはただ目を見開いて、泣きそうな顔をしていた。その顔をみると、これは本当なんだと理解するしかなかった。
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