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「カナ? なんで声出てないの? ふざけてないでしょうね? カナ……!」
そう叫ぶ母さんに、いたって真面目に応える。
「ふざけてないよ?どしたの、母さん」
母さんは泣き出して、それ以上何も言わなくなった。
医師は唖然としながら、つぶやくように言った。
「そんな……、外傷はひとつもないのに、声だけ出ないとは。どうなっとるんだ?」
(声、出てないの?)
トーヤに視線を移すと、トーヤはただ目を見開いて、泣きそうな顔をしていた。その顔をみると、これは本当なんだと理解するしかなかった。
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