第1章

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毎日毎日 働いてばかりの人生だった。 家族とも距離があり 仕事に恋をした。 僕は今日 三十三年働いた会社を 自主退職した。 会社にいかなくていい。 もう 年下に頭下げなくていい。 もう 年上に気を使わなくていい。 もう 酒を飲まされに行くこともない。 家でぼーっとしながらも 考えるのは仕事のことばかりだった。 あんなに頑張ったのに。 あいつは元気かな。 皆んなどんな気持ちなんだろう。 つーっと涙が落ちた。 泣いたのは久しぶりで それが涙だとは気づかなかった。 自由で、暇になって ようやく気づく。 仕事が好きだったんだ。 本当に 本気で かけがえがないほどに 仕事が、大好きだった。 今日僕は、失恋したんだ。
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