序章

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「………」  今がどんな時間帯なのか分からない。ただ俺は一つ決意した。  体に羽織られている毛布を脱ぎ捨て、テーブルの上にあった重量感のある一つの缶を手に取り、喉に流し込む。  寒いだろう、と俺は数日間開いても無かったクローゼットを開き、そしてジャケットを手に取って羽織る。  次に同じく触覚を頼りにしてタンスに辿り着き、一番上に畳まれていたズボンに着替えて同時に靴下も履いた。  訪れるであろう痛覚に怯えることも無く、立ち上がり玄関へと歩く。  外に出るのはいつぶりだろうか?という疑問が靴を履いてる間に浮かんだが、すぐに追い払った。  靴を履き終わり、俺は重たい玄関の扉を開くとガチャン、と音が響いた。  その音がどこか懐かしく思ったが、それすらも追い払い、俺は目的の場所へと手で壁を触りながら歩き始めた。
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