0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………」
暖簾から微かに見える空を見上げる。
殺人の証拠を隠す男。
それを捕まえようとする刑事。
復讐を遂げようとする女性。
男の目的が果たされるのか。
刑事が正義の名のもと、男を捉えるのか。
それとも女性が、大切な人を失った悲しみを憎しみで晴らすのか。
今の私には、答えが分からない。
何が正しいのか、分からない。
ただ、個人的に主張していいのなら……ベテランの刑事に、男を捕まえ、女性の復讐を止めて欲しい。
自分勝手な道徳観。正義感。
もう、持っていてはいけない感情を基に、私はそう思う。
「……今日はここまで、かな」
お客が来る様子もない。
店の戸締まりをし、束ねていた長髪の髪を解いて、夜の街を歩く。
月明かりのない、真っ暗な闇。
私が歩くには相応しい、ちょうど良い暗さかもしれない。
翌日。3丁目の空き地で、男女の遺体が発見された。見つけたのは、ベテランの刑事。
刑事は現在、殺人容疑で取り調べを受けている。
最初のコメントを投稿しよう!