第1章

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悲しげに笑う彼女。 やがて、その悲しげな笑いは止み、瞳は涙で濡れながらも、表情はしっかりと、覚悟を決めていた。 「……ありがとうございました。では、失礼します」 彼女の覚悟。それが分かっている私は、言葉を添えるしかできない。 「……お姉さん、あなたにそんな道は、歩んで欲しくないと思います。……月並みですが、復讐は、何も生みません」 彼女は驚いた表情を浮かべる。けど、柔らかな表情になり、 「……もう、決めてたことなんです」 憂いを帯びた優しい表情でそう言い、去っていった。 彼女のしようとしてること。それが分かっていても、私には止められない。いや、止める権利なんて、ありはしない。 私に、人の生き方を正す権利なんて……ありはしない。
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