『いつも』が無くなった時

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「今日からよろしくな、リク」 出会った頃のレオを思い出したかと思えば。 「どっか寄っていく?」 昨日までのリクを思い出した。 それが頭の中をフラッシュバックする度、僕は嗚咽を吐きだす。 どうして君は、『いつも』からはみ出してしまったんだ。 道を逸れていってしまったんだ。 そんな僕に追い打ちをかける、雨が降る。 さっきまでの晴れ間が、まるで嘘のような土砂降り。 人がいなくなった交差点。 車もいなくなった交差点。 傘も差さない僕は、大泣きしていた。 隣を見ても、何度見てもいないのに。 昨日までの『いつも』を縋って、求めてしまう。 「ニャァン……」 猫が鳴く。 泣いていた目を開け、目の前を見る。 横断歩道には、猫がいた。 昨日の猫だった。
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