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赤い部分は殆ど無くなっていたが、それでも少し残った色でわかった。
この猫は、昨日の猫だと。
「ニャア」
そう鳴くと猫は僕の方に歩み寄り、足元へとやってくる。
見上げながら猫は、もう一鳴き。
僕はしゃがみ、その猫を抱きかかえた。
特に首輪は無い、野良猫みたいだ。
昨日、レオに助けられた猫。
憎いなんて、思わなかった。
レオが死んで、この猫は助かった。
僕の腕の中で、猫はまた鳴く。
励ましてくれてるのだろうか、謝っているのだろうか。
猫に人間のような感情なんて、あるかどうかすらわからないけど。
でも今の僕には、そう言っているようにしか聞こえなかった。
レオと猫が、重なって見える。
命を賭けて助けた猫。
それなら僕は……。
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