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 カレンが午後8時まで使えないとはいえ、友達と遊ぶならば電話をかければよい。  しかし、真琴は何故か電話をかける気になれなかった。  カレンが使えるなら絶対にメッセージを送るよな……なんでだろ。  電話で話をすることを億劫に感じる……。  自分自身の気持ちなのに、真琴はそれを説明するに適当な言葉を持たなかった。  そしてなんとなくテレビを見ながら午後を過ごした。  ……午後8時を待ちわびながら。  テレビで午後8時からの歌番組が始まった。  よし、カレンが使えるはずだ。そう思って真琴は携帯電話でカレンを起動した。  アップデートがあったのだろう、いつもより起動に時間がかかっている。真琴はテレビに視線を戻した。  やがて携帯電話の液晶画面が明るくなったのを視界の端に捉えた真琴は再び携帯の画面を眼前に運ぶ。 「え……なに?これ……」  小さな液晶画面に表示されていたのはいつものカレンのホーム画面ではなく、動画が再生されていた。  そして真琴はその動画に釘付けになった。一気に鼓動が早くなる。 「なんで……ウソでしょ。……やだ……いやだ」  見たくはない、見たくはないのだが一瞬も目を離せない。  そのうち真琴の呼吸は浅く速くなり、やがて過呼吸の様相を帯びてきた。  それでも真琴は目を離せない。   どんな操作をしても動画は止まらない……。  鼓動と呼吸は危険の度合いを増していくが、真琴の思考は目の前の画像のことで一杯になっており、身体の異常を心配する余裕はなかった。  やがて視界は暗転し、真琴は気を失った。
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