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……ィーン ヴィーン ヴィーン
携帯が鳴ってる……。
……って、あれ?私……えっと、携帯の画面を見て気が動転して……。
……もしかして、気を失ってた?
真琴はベッドに放り出された携帯を手に取る前に慌てて壁掛け時計を見る。
時刻は20時11分だった。
どうやら気を失っていたのは5分間ほどらしい。
真琴は軽く首を回す。まだ思考がよく働かないが、幸いベッドの上に倒れたようで身体に怪我はない。
すっきりしない頭で真琴は携帯に手を延ばす。
電話をかけてきているのは真琴が所属する卓球サークル「ピンポンパン」の1年生、清川理沙だった。
理沙……一番の親友。少なくとも真琴の方はそう思っていた。
真琴はすがるように親友からの電話に出る。
(真琴……見た?)
真琴は心臓が止まるかと思った。
かすれた声でかろうじて答える。
「……見たって……何を?」
(何って、カレンに決まってるじゃん)
「……見た……よ」
(……どうする?)
どうするって……。どうしよう。
真琴は思い浮かぶまま答える。
「……とにかく、お母さんに相談するよ」
電話口で理沙がすこし沈黙して間を置いた。
(……真琴のは、まだお母さんに言えるようなヤツだったんだね。私のは……言えないよ)
ん?どういう意味だ?
「理沙、それってどういう……」
(まあいいや。真琴、お母さんに相談するのが終わったら連絡してよ)
「え、うん……分かった」
(私は相談できないから、もう少しカレンをいじってみる。じゃあね、真琴)
電話が切られた……。真琴はいまいち状況が呑み込めないままだったが、理沙と話をしたことで少し気持ちが落ち着いた。
意を決し、改めて携帯の画面を見る。
真琴を失神させた動画は既に終わったようで、画面にはカレンのトップページ……らしきものが表示されていた。
……これはカレン、なのか?真琴がそう疑うほどにカレンのトップページは改変されていた。
綺麗だった文字は大昔のゲームのようなフォントに変わり、お洒落に着替えを楽しんでいたアバターも貧相なドット絵になっている。
そして、ドット絵のアバターの下に小さなウインドウがあり、そこには真琴のステータスのようなものが表示されていた。
287718B
優等生
徳:197
業:42
「これって……」
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