10月7日(金)

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「つまりその、決める人というのが愛……。写真屋さんの娘だったために巻き添えになった大神愛なんですね?」 「はい。そのつもりでした」  でしたってことは、今は違うんだよな。  鈍い自分でも解る。愛に代わって、自分が〝決める人〟になったんだ。  でもホント、なにが決め手だったんだ? 「……どうして私だったんですか?」  投げた問いが部屋をさまよう。  まるで独り言のようなその問いかけは、高山に向けたものともミツキに向けたものとも、あるいは島田に向けたものともいえた。  また、あるいは自問とも……。 「アンタが貧乳だからだよ、真琴」  振り返ると理沙がいた。  音も立てずにドアを開け、その割にはビシッと人差し指を真琴に突きつけている。  ここでアンタが登場すんの?理沙……。 「……清川、どういう意味だ?それ」  すぐに反応できたのは島田だった。  言葉を向けられた真琴はその意味を掴もうとし、高山はただこの珍入者に驚くだけ……。  まったく驚いた様子のない島田の態度は、まるで理沙の飛び入りを予想していたかのようだった。  まあ、試験が終わってから私のストーカーになってたんだから……。  そりゃ尾けるよね。この部屋まで。 「私の言うことに意味があると思うなよナル夫」  差す指先を島田に移して理沙が答える。 「……ないのか?……意味」 「貧乳なのにおとなげボーボーだから選ばれたんだよ真琴は」  ……理沙……ここがどこだか分かってんの? 「清川、ここには教授もいるんだ。日本語で言ってくれ」 「え?……そうね、なんてえの?つまりその……」 (裏表がなくて思慮深いから。そんなトコロじゃないの?訳すなら) 「そうそう、そんなカンジ。さすがだねミツキ」  ……貧乳って言葉は、いつの間に「裏表がない」って意味を持ったんだ?  そんなやりとりの中、知識を総動員して状況を理解した高山が理沙に尋ねる。 「ええと、あなたは清川さん……。つまり、もうひとりのチームメイトですか?」 「ですです。ある意味心中人物です」 「……そうですか。それならその……」 (先生、理沙もこの場にいて然るべきだよ。半分くらい知ってる) 「……ミツキ、アンタ、ナルっちのときは〝ぜんぶ知ってる〟って言わなかった?」 (ひひ……。興味のないことは記憶に残らないでしょ?理沙は) 「……よく理解してんのね、さすがに」
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