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「ナル夫はどっちがいいと思うの?」
「……案外、清川主導が解りやすいと思う。ホラ、俺に準備はないし」
「そっか……。じゃ、また私が刑事役だね」
またもや新事実が明かされそうな雰囲気だが、それが「いい報せ」ではないことは真琴にも理解できた。
そんな真琴の顔を見てなにか感じたのか、島田が真琴に前置きのような言葉を告げる。
「古川」
「ん?」
「清川はさっき〝仲間はずれみたい〟じゃなくて〝仲間じゃないみたい〟でイヤだった。……そう言ったんだよ」
「あ……え、そうだっけ?」
「だからここは清川に任せるよ。俺は公平じゃない」
「公平じゃ……ない?」
真琴が知る誰よりも〝公平〟という言葉が似合う島田がそれを否定し、真琴が困惑しているところで理沙がバトンを受け取る。
「真琴、ナル夫は〝その他大勢の学生〟の代弁者なんかじゃないよ」
「…………え?」
「松下さんが怪しいってハナシになったときのナル夫の誘導は〝許容範囲内の暴露〟だったんだよ」
「ごめん、よくわかんない」
「そうね……う~ん……。じゃ真琴、松下さんから最初に聞いた松下さんの電話番号って憶えてる?」
「……いや、憶えてないけど、携帯の電話帳にあるよ」
「かけてみな、それに」
「え?」
「いいから」
今、松下さんに用はない。
さっきまで会ってたんだし。
でも理沙の目はフザけてない。
真琴は言われたとおり自分の携帯電話を使い、そこに登録されている連絡先「松下刑事」……松下の連絡先として最初に教えられた番号にダイヤルする。
間もなく、部屋に呼び出し音が響く。
……って、これって……あれ?
鳴り出したのは自分のジーンズのポケットに押し込んでいた白い携帯電話……。
真琴はポケットから取り出して発信者を確かめる。
〝古川真琴〟……つまり私だ。
松下さんは最初、この白い携帯電話の番号を私に教えたんだ。
……で、これになんの意味があんのよ?
「……これってつまり、最初に松下さんが私に教えた連絡先ってのがこの白い携帯の番号だったってことよね」
「そうなるね……」
「そうなるね……じゃなくて、なんなのよ理沙、なにがやりたいのよ」
「え……と、ちょっと予定が……」
「なんの予定?」
「……名探偵理沙」
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