117人が本棚に入れています
本棚に追加
島田にも理沙にも一瞥もくれず部屋を出た真琴は、胸からスマートフォンを取り出す。
「ミツキ」
(うん)
「どうせアンタはなんでも見えちゃうんだろうけど、次に私がアンタを呼ぶまでは黙ってて。いい?」
(いいよ)
結末は近いけど、やっぱりその前に直接会っておかなきゃいけない……。
真琴はラインを開いてメッセージを送る。
おおむね1時間後、真琴は大学近くにあるファミリーレストランにいた。
「まだ晩ごはんには早いわね」
真琴がじっと固まり考えをまとめているところに、待ち人が声をかけてきた。
そして真琴の対面の席に着く。
「ずいぶん疲れてるわね。大丈夫なの?」
真琴は無言でうなづく。
疲れきっていることは事実……。隠しようがない。
「まあいいわ。それで、私になにが聞きたいの?」
真琴は顔を上げる。
目の前にあったのは、あの頼もしい顔……。
「……お母さん」
母の表情は9月28日の夜と同じ……。
〝なんでもこい〟と顔に書いてあった。
最初のコメントを投稿しよう!