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潔いほどに真っすぐ私を見つめる瞳に悟った事。
私は最上君にとって否定するに値しない位の存在。
賭けのターゲットなだけで、それ以上のものじゃない。
バレて私にどう思われても最上君にとっては何の痛手でもないんだ。
あの子達の言う通りだ。私は何を浮かれていたんだろう。
『“釧路よ、閉める日”!』
笑顔で撫でてくれた掌の感触を思い出して目の前がぼやけた。
…最上君が逆読みを好きだって知って、結構嬉しかったんだけどな。
あれも全部、賭けに勝つための『作戦』だったんだね。
情けない自分をハハッと自嘲気味に笑い飛ばした。
「…さすがだね、最上君。私、あっさり騙されて最上君の事好きになっちゃったよ。」
目の前で形の良い二重の目が見開く。
「…なんて、今言われても困るよね、キモいよね。」
「や、あのさ…」
「良かったね?賭けに勝てて。」
その手からお弁当箱を抜き取った。
「…二度と私に話しかけないでください。」
自分で放った言葉にズキリと胸に痛みが響く。
…だから嫌なんだよ、イレギュラーな事は。
絶対にその裏にこうやって何か嫌な事が隠れているんだから。
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