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◇
「それでさ…」
「えーそうなの?」
掃除の時間、教卓の周りに集まって掃除もせずに話している数名のクラスメイト。側を帚ではきながら心の中で舌打ちして呟いた。
「“ま、ヤジよ。いい手、杖か”」
…いまいち駄作。
だけど咄嗟に浮かんだ割にはマシかな。
意識をまた掃除に戻して帚で集めたゴミをゴミ箱に入れる。
それにしても毎日よくゴミが出るな。紙くずにストローつき牛乳パック、何かを開けたであろう梱包のビニールにペットボトル…。
今時小学生だって分別位は知っている時代なのに。こんな混合ゴミ、地球にも頑張って分別してくれている用務員のおじさんにも優しくない。
「ねえ、それ俺が持ってくよ。」
もう…牛乳パック、飲んでそのまま入れたの?ペットボトルが牛乳塗れじゃない。捨てる前に一度洗わないと。
「仲井?」
肩をつかまれて、そこで自分に話かけられてるって気が付いた。
ゴミ箱から顔を上げた事で、至近距離にクラスメイトの最上奏の顔。たじろいだら、足がもつれてゴミ箱と一緒にひっくり返った。
「ぷっ!やだ、ゴミ塗れ。」
「しっ。悪いよ、そんな事言ったら」
さっき掃除もせずに話していた女子達が楽しそうに哀れんでる。
別にいいけど、そんなのどうでも。
無言のまま散乱してしまったゴミを拾い始めると最上奏が隣にしゃがんだ。
「ごめん、驚かせた。」
「…別に平気です。」
「平気じゃないでしょ。転んでるんだよ?」
私の腕を引っ張って立たせてから、ゴミ箱を持ち上げた。
「俺が持っていく。」
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