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もはや誤魔化す余地は無いと思った。
逆読み言葉で悪態をついていた事がバレたんだ、この人に。
「まあでも、逆読みは面白いよね、確かに。だから悪態をついていたのは内緒にしといてあげる。」
…現状打破を強く願うあまり都合の良い言葉に聞こえたのかと、一瞬耳を疑った。
「でも条件がある」
「条…件ですか?」
「うん。実は俺も逆読み言葉が好きなんだよね。だからさ、共有しない?俺と仲井で。」
「もちろん、皆には内緒」と無駄に可愛い笑顔でシッと人差し指を口の前に立てる最上奏。
「まあ、こんな小学生みたいな趣味、どうせ誰にも言えないしね。」
…悪かったね、幼稚な趣味で。
「つーわけで、明日から昼飯はここで二人で食おうよ。その時に披露し合うって事で。」
お、お昼を最上奏と食べる?!
教室ですれ違い様にお互い呟く的な事を想像していたんだけど…。
教室で浴びせられた女子達のつららな目線が脳裏を過る。
「約束ね?」と目の前でまた柔和な笑顔を向ける彼に諦めの溜息を吐き出した。
…仕方がない、覚悟を決めよう。
逆読みが出来なくなる方が嫌だもん。
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