第四章 南国と楽園

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「いや、俺は、海なら泳ぐ」 「情緒がないよね、大和って……」  抱き合うのは、情緒なのか?  浮島に到着すると、本当に寺内がいて、的場と浮島を作成していた。 海藻が回収され、あちこちに干されている。 「魚があるはず、酒も持ってきたはず」  俺は、船を探し、魚と酒をかき集める。 時季も魚を持つと、そっと後ろから俺の持っていた酒瓶を取った。 「酒はほどほどにね」  酒を水のように飲む奴に言われたくない。 「魚、すごくおいしいよ」  それで、酒を飲みたいのだ。 「ここは、夜の海が荒れますからね。この浮島も揺れますよ」  浮島の中央で酒を飲み始めると、本当に揺れた。 島に重みがないので、余計に揺れてしまうのだろうか。
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