第四章 南国と楽園

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「……静かだ」  静かの中に、何かが動いている。 海面ではなく、深い場所での海流が、ゆっくりとどこかに流れる。 「響紀、ソニアから星を見て欲しい。どこかに異常はないか?」  空から、何か見つけられるだろうか。 「竜巻です」  宇宙からでも分かる程の、巨大な竜巻が移動しているという。 「位置と進行方向を教えて」 「はい、位置は157.15.56……進行方向」  ここは無事のようだ。 夜の竜巻など、この光のない世界ではかなり怖い。 「この竜巻で、海底も変動しそう」  やっと、全回収の見込みができてきたというのに、 又、位置を再計測しなくてはならない。
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