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又浜に歩き出すと、トーヤは俺から目を逸らせた。
「波は静かだけど、海流が激しい。
初めて大和を見た日も海流は激しかった。
でも、落ちた星が気になって、俺は海に出た」
トーヤは、落ちた星を探して、
星よりもきれいな人が存在していた奇跡に、驚いたという。
しかし、時季も見て、
きれいな種族には、ちゃんと守りが存在していると知ったという。
「時季は守りではないよ。俺も強い」
「泳ぐの下手だよね。それに遅い」
指摘されると、俺は項垂れる。
確かに、トーヤと比べると、大人と子供の差くらいもある。
「俺は御卜と話をして、あれこれ分かった。
御卜も星を見て届かないと知った人だ。俺も同じだ」
星か、俺も同じだ。
五羅に追いつきたいと願い、親父に勝ちたいと思った。
追っているのは、星のような存在であった。
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