第六章 嵐の夜に

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 時季は、窓辺で外を見つめていた。 確かに、新人二人を、海の上に置いてきている。  亜空間の通信を使いたくても、 新人ではまだ出来そうにもなかった。 誰かS級を残してくれば良かったか。  俺は、揺れがやや治まると、袈裟丸の膝から立ち上がった。  俺は、離れているトーヤの部屋に向かう。 朝一番で船を出して欲しいのだ。 トーヤの漕ぐ船は、エンジンよりも遥かに速い。 「あん…あんあん」  あん?窓がないので、外まで聞こえていた。 御卜の別れが成立したせいか、そこでは初夜になっていた。  この嵐で、この揺れで、しているのか。
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