第六章 嵐の夜に

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 建物を確認してみると、 保存庫や貯蔵庫の窓は、葉で塞がれていた。 家畜も、中庭に入れている。 トーヤは、嵐の前に準備はしているのだ。 「大和、波に足を攫われますよ」  浜辺の近くに来ると、膝まで波がきていた。 そっと袈裟丸が、俺の背を支えていた。 「時季。俺、船を見てみます!」  袈裟丸が叫ぶと、時季が俺の横に来ていた。 「袈裟丸、無理はするな!」  光が少ない。横殴りの雨に、視界も悪い。 「うあああ」  叫び声とともに、大きな波がきていた。 時は俺を抱え、俺は流されないように糸を放ち、 木や建物に巻きつけていた。
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