第六章 嵐の夜に

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「時季。俺は、仲間が一番。 機材や仕事よりも、仲間が一番な、ダメな頭領代行だな」 「まあ、ダメさ加減は、最初から知っていましたよ。 だから、皆が大和を守っていますからね」  浜は危ない、建物の中に戻ろう。 「大和は鉄鎖の時は、 黒の象徴みたいに冷徹と言われていましたけどね、 隠れて泣いていたりしてね……」  時季は、俺の過去をバラしながら歩く。 暗殺でも、母子まで殺せと言われると辛かっただけだ。 「そうですよね、 スパイ猫が任務で取り残された時も、泣いていました」  可哀想だろ。 猫でも仲間だろう。 切り捨てていいものではない。 でも、組頭の命令は絶対であるのだ。
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