第六章 嵐の夜に

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「風向きが逆ですよ。 この星を一周するつもりですか」  でも、じっとしていられない。 「俺が行きますよ。皆さん船に乗ってください」  トーヤが腰に布を巻いた状態で、部屋から出てきた。  さっきまで御卜を抱いていたというのに、体力は大丈夫なのか。 気持ち、トーヤはやつれた気がしていた。  俺がトーヤの船に乗り、時季と袈裟丸の船を繋いだ。 トーヤは、全速力で船を漕いでくれた。  海は景色が遠く、 速度が出ているという感覚はないが、頬に当たる風は冷たい。 「トーヤ、御卜と結ばれたようだよね。御卜は無事?」  トーヤは漕ぎながら、ふと遠い目をした。
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