第六章 嵐の夜に

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「……不確かですが、こちらに大きな生き物あり」  トーヤが船を漕ぐと、イルカが泳いでいた。 「イルカか……」  再びトーヤは船を止めて、周囲を見る。  俺は、海中を見て、イルカが何かを取り囲んでいる光景を見た。 イルカは何かを、心配している。 「潜る!」  服は脱ぎ捨ててあったので、そのまま飛び込む。 イルカの中に入ってゆくと、そこに漂う的場を見つけた。  俺は的場を抱えると、海上に浮かび上がる。 「時季、蘇生してくれ!」  的場は息をしていない。 「分かった」  俺は人工呼吸ができない。 俺が呼吸すると、酸素は全て取り込んでしまう。
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