第六章 嵐の夜に

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「死んだら終わりですが、今なら死を十年伸ばせますよ」  だから死者なのか。 こうやって死者に与えていた液体なのか。 「十年、的場に恨まれるのか……」  それでも、こんな場所で死んで欲しくはない。 「トーヤ、液体は飲ませるのか?」 「死者は飲みません、 腹部や心臓付近に振りかけるのが有効です」  亜空間に液体を保存していた。 手に亜空間を出すと、的場の上に液体を振りかけてみた。 「的場、ごめん。でも、こんな場所で死なせたくない……」  俺が、嵐を予見できればこんな事にはならなかった。 もっと準備をしておけば良かった。後悔は役にもたたない。 俺の甘さは、仲間の死を意味する。
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