第六章 嵐の夜に

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 実験船の引き揚げが仕事内容であったが、 爆破しても。解体して処分してもいいと事前には確認していた。 しかし、証拠写真が欲しいとか、金属は売れるので、 その分、代金から引けという値引きの要請があった。 値引きなどの金銭面は、鬼同丸が処理してくれるらしい。  金になって、初めて仕事なのだ。  通信を終えると、ぐったりとした気分になっていた。 しかし、外の声は終わっていない。 「長い」  二時間の夜だけでは、済まないのではないのか。 朝方、中庭に出ると、 窓の中に、ぐったりとした御卜を抱きかかえる、 トーヤの暗い表情を見た。
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