第七章 朝日の生まれる場所

4/27
前へ
/306ページ
次へ
 やはり、目的は泳ぐではなかったか。 「できれば、俺は泳ぎたいけど……」  そっと、時季の手が俺の頬を包んでいた。 時季の赤毛と、赤に近い茶の瞳が、 明るい日差しの中でより色を増していた。 時季の日に焼けた肌もまぶしい。 「あんなに、周囲でされていると、俺も我慢が限界。 大和は、絶えず裸に近い恰好だし」  南国で、服を着ていると熱いのだ。 「……大和は、トーヤに惹かれているし」  時季が、俺の海水パンツに手をかける。 これしか着ていなかったので、脱がすのが簡単だったろう。 「俺も、嫉妬しますから……」  トーヤの泳ぎに憧れてしまった。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加