第七章 朝日の生まれる場所

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「俺は後ろだけで、感じたくはない。そこは違う。 それにそんなに感覚のいい場所ではないだろ」 「違わない。 ここからでも、ちゃんと刺激できます」  指を突っ込まれて確認されているが、 それが又腹立たしい。 時季も研究していて、最初から結構いいツボを突いてくる。 しかし、俺も意地になってしまい、顔を背ける。  何かが動く感触はあるが、 前ほどの刺激ではないような気がする。 「時季!」  ズンと重い感触があった。 でも、後ろで感じたくはない。 「誰にでもある、機能ですから……」  でも、使っている人は少ないだろう。 「……嫌だって、時季」  船が揺れている。 何も遮るもののない海は、静かで声が吸い込まれてゆく。
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