第七章 朝日の生まれる場所

9/27
前へ
/306ページ
次へ
「あぐつつ」  痛くて目を閉じると、僅かに涙がにじむ。 やっぱり、こんな場所を使うのは、 間違っているのではないのか。  次に、ずっしりとした重みがやってきた。 すごく重い。 内臓にのしかかってくる。 「喰いちぎってくださいね」   時季の笑ったような声が憎たらしい。 喰いちぎってやろうじゃないか。  船の上で、意地の張り合いのようになっていた。  この星、日が長い。 今度は、海の中で結ばれてしまった。 酸欠の状態が、どこか心地よい。 「時季、心吾ならば亜空間で孝太郎から人を持ってこられると思わないか……」  船にあがると、寝転ぶ。隣に時季も寝転んでいた。 誰も見ていないと言っても、やはり外で、 裸で寝転ぶのは恥ずかしい。 海水パンツだけは履いてみた。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加