第一章 淡き青と淡き海

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「…………時雨」  これは、亜空間技ではない、 鉄鎖の一番技となる、刀技であった。 降り注ぐ刀を、器用に渋谷が避けていた。  一番技を避けるのは、やはり組頭の技量というものか。 敬意を込めて、鬼城の一番技を出してみるか。  俺が手に銃を出すと、渋谷が頭を下げた。 「試しただけです。銃はシャレにもなりません。 それ、鬼城の一番技でしょう。 大和さんが、本気になったら、誰にも避けられませんよ」 「幻術も出したかったな……」  幼馴染で死んでしまった、 鬼城 六沙(おにしろ むしゃ)の一番技を出したかった。 「勘弁してください。死人が出ますよ」  渋谷は、玄関に風呂敷包を置いた。 中には、朱色の半纏が入っていた。
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