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「…………時雨」
これは、亜空間技ではない、
鉄鎖の一番技となる、刀技であった。
降り注ぐ刀を、器用に渋谷が避けていた。
一番技を避けるのは、やはり組頭の技量というものか。
敬意を込めて、鬼城の一番技を出してみるか。
俺が手に銃を出すと、渋谷が頭を下げた。
「試しただけです。銃はシャレにもなりません。
それ、鬼城の一番技でしょう。
大和さんが、本気になったら、誰にも避けられませんよ」
「幻術も出したかったな……」
幼馴染で死んでしまった、
鬼城 六沙(おにしろ むしゃ)の一番技を出したかった。
「勘弁してください。死人が出ますよ」
渋谷は、玄関に風呂敷包を置いた。
中には、朱色の半纏が入っていた。
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