第一章 淡き青と淡き海

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「俺、鉄鎖の黒では、下っ端だったよ」  一応、訂正しておく。 鉄鎖の時から、特S級ではあったが、上位ではない。 「特S級でしょう。 まあ、外様の差別が酷い時代でしたからね。 でも、技量的には歴代トップクラスですよ。 それが、三人揃っている。うらやましいですよ」  朱色の半纏は、鉄鎖の文字が入っていた。 S級に昇格の祝いで渡す前に、二人が去っていたのだそうだ。 「鉄鎖の技を、一番技として使用できるのが、鉄鎖ではないというのが、 悔しいですよね」  黙って見ていた、時季が間に入ってきた。 「あんまり、ウチの頭領代行に喧嘩をふっかけないでね。 そろそろ、俺もキレそうだしね」 「そうだよね。俺が組頭の時に三人が居たら、絶対に手放さなかったよ。 そういう思いで、こいつらも育てたのだけどね……」  鬼同丸は外部の人間も多い。偏見はあるが、差別はない。
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