第二章 淡き青と淡き海 2

15/30

60人が本棚に入れています
本棚に追加
/306ページ
「亜空間を持っていない者は、空いた時間に俺の所に来てくれ。以上」  解散すると思ったが、御卜と源が、じっと俺を見ていた。 そう言えば、俺は銀狐に亜空間を渡していない。 「どうぞ」  まず相性をみるかと、 食べようとしたスルメイカを口に咥えた。 腕まくりをすると、腕を掴めと指で指示してみた。 「いだだだ、強く掴まなくてもいい!」  軽く掴ませて、亜空間を渡す。 「……どこかおかしくはないか?」  源が、俺を見ていた。 もしかして、俺がおかしいとでも言いたいのか。 「いいえ。不思議だなと思いまして。 大和さんの目が、今、暗闇に見えました」  暗闇? 「……源、俺の亜空間では、暗闇がない。 暗闇は孝太郎に飲まれたから……これ以上、俺の亜空間は渡せない。 源が孝太郎に飲まれてしまう。 でも、今の量で通信だけはできるだろう」  暗闇を見てしまうケースもあったか。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加