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曳航というよりも、ただロープで繋ぐと、櫓を漕いでゆく。
どうやって俺の位置が分かったのであろうか、
しかも、やっとここまで来たのに、
船が、又、居た場所に戻っているのではないのか。
「あの、トーヤ。俺、あの場所に用事があって」
トーヤは俺の声を聞こうとしない。
又、十五時間かけて移動するのは、辛い。
ロープを切ろうとした時、トーヤは振り返った。
「明日、あの位置に戻してやるから、大丈夫」
櫓で漕いでいるというのに、日没前に浮島に到着していた。
見ていたというのに、どうやって移動しているのか、
さっぱり分からない。
手で櫓を漕ぐだけで、このスピードが出てしまうものなのか。
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