第三章 君のいる島

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「夜は冷えるから、室内に居た方がいい」  冷えると言っても、凍える程ではないだろう。 「上着があるから、大丈夫」  それでも、トーヤは俺の腕を離そうとはしない。 「病気になっても、ここには医者がいないから、部屋に入って」  医者ならば、当麻がいる。 「俺、夜目が利くから、夜に眠っていない。 だから、手を離して」  トーヤは首を振っていた。 「ダメ。夜はダメ」  何か事情があるのだろうか、 これ以上口論するのも無駄かと、俺は引かれるままに部屋に入った。 「……俺は十一人兄弟で、六番目。 上の三人は波に飲まれて死んだ。 夜に爆音がきて、巨大な波が浮島を飲んだ」  もしかして、実験船が落ちた時なのか。
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